歯を欠損した場合の治療について

様々な理由で歯を失ってしまった場合、その部位を補うための治療方法としてはブリッジ、義歯、インプラントなどが挙げられますが。これらの治療法には利点・欠点があり、患者様に適しているかどうかも、それぞれの治療法によって異なります。診査診断をおこない、そもそもの歯を失った原因を捉え、対応してから治療をすることが大事です。

ブリッジ

歯を失った部位の両隣の歯を被せ物でつなぎ、橋かけをする治療。固定式なので以前の自分の歯の感触に近いことが挙げられます。ただし、隣の歯を削って被せるのでその歯が歯周病やムシ歯で失われないようにしなければなりません。

入れ歯(義歯)

歯を失った部位を取り外し式の入れ歯(義歯)で補う治療。隣の歯をあまり削らず入れることが出来るものの、義歯は取り外し式でバネがついているので、若干食事の効率は下がります。また、食事ごとに取り外し、掃除をしなければならず、歯ブラシを工夫しないとバネをかけた歯がムシ歯になってしまう場合もあります。

インプラント治療

歯を失った際の治療手段としてインプラントは今や当たり前のものになっています。インプラント治療は歯を失った部位の歯槽骨にチタンやジルコニアでできたインプラント体を植え込み、それを新たな根として噛めるようにするものです。インプラントは本来の歯のように噛めるので選択されることが多くなりつつありますが、メインテナンスを行うことが必須であり、インプラント周囲炎にも注意しなければなりません。

インプラント、ブリッジ、入れ歯の違い

インプラント ブリッジ 入れ歯(義歯)
耐久性 10年後90%以上の残る(100本あれば90本以上は口の中で機能している) 8年で50%が残る(半分は撤去されている) 4年で50%が残る(半分はトラブルがおき、使用されなくなっている)
噛む力 天然歯と同じ力が出る 天然歯よりやや劣る 天然歯の4分の1の力
見た目 天然歯には劣るが少数歯なら、ほとんど天然歯と変わらない 天然歯より劣る 入れ歯をとめるワイヤーが見えたりして見た目はよくない
異物感(吐き気など) なし ほとんどなし 異物感が大きく、吐き気などがして、入れ歯が口の中にいれれない人もいる
隣接する歯、歯茎への影響 ほとんど影響なし 欠損部を支える歯は削られているので、むし歯になったり、過大な力が加わり、ダメになることもある ワイヤーがかかった天然歯は、4年後に95%の確率でむし歯になる
欠損部の歯槽骨は1年間に0.5mmとけていく
ワイヤーにかかった歯は、過大な力がかかりぐらぐらになりやすい
隣接するため歯がダメになった時 既存のインプラントと人工歯はそのままで、何にも手を加える必要がない 既存のブリッジをはずして、より大きなブリッジを作り直さなければならない 作り直したり、歯を付け足したりしなければならない
費用 高額 保険で治療可能(特別なもの以外) 保険で治療可能(特別なもの以外)
その他 外科手術が必要 金属アレルギーをおこす人がいる ワイヤーは金属なので金属アレルギーをおこす人がいる

歯周病とインプラント

インプラント治療をおこなう前に、まずは歯周病が無いのかを診査・診断させて頂きます。これは、歯周病があるのにインプラント治療を進めてしまうと、インプラント周囲炎という、歯周病と同じ病態になりやすいためです。
インプラント周囲炎が起きてしまうと、最悪の場合は埋め込んだインプラントが抜けてしまうということになります。
インプラントは、多くのエビデンス(科学的根拠)も多くあり、安心で安全な治療ですが、治療する前、治療後の口腔環境を清潔にしていくためにメインテナンスが必須となります。